本人証人調書

以下は、原告の山下 睦子における証人調書である。

※固有名詞は必要に応じてイニシャルとしている。

※尋問内容をわかりやすくするため、対話形式で表している。


       平成12年(ワ)953号損害賠償請求事件   


期  日 平成14年9月17日 午前 13時00分
   
                        

             証 人 調 書

 

原告ら代理人(H)
(原告代理人(H):甲第25号証を示す)
原告代理人(H):これは睦子さんの陳述書で,睦子さんが話したことや書いたことをまとめたもので,睦子さんが確認をして名前を書いて判こを押したものに間違いはないですか。
原告睦子:はい。間違いはないです。
原告代理人(H):あなたの飲んだ薬,プロスタルモンE錠についてお尋ねします。入院した翌
日の5月26日の朝,問診があった後でプロスタルモンE錠を飲むことが決まったんですけれども,このときF医師は,あなたにこの薬のことは何と説明しましたか。
原告睦子:先生は,一般的には陣痛促進剤と言われてますが,これは子宮口をやわらかくする薬ですという説明をされました。
原告代理人(H):そのF医師の説明を聞いて,原告睦子:睦子さんはこの薬についてどう思いましたか。
原告睦子:陣痛促進剤であるのか子宮口をやわらかくする薬であるのか,どちらなのか迷いました。
原告代理人(H):その迷っているところで,助産婦さんが1錠目の薬を持ってきましたよね。あなたはそれを受け取ってすぐに飲みましたか。
原告睦子:いえ,飲んでません。
原告代理人(H):なぜ飲まなかったんですか。
原告睦子:陣痛促進剤なのか子宮口をやわらかくする薬なのか,どっちなのかよくわからなかったからです。
原告代理人(H):それがわからないと飲めなかったんですか。
原告睦子:はい。
原告代理人(H):それはなぜですか。
原告睦子:陣痛促進剤であれば飲みたくなかったからです。
原告代理人(H):何で陣痛促進剤だったら飲みたくなかったんですか。
原告睦子:重大な副作用が報告されていることを知っていたからです。
原告代理人(H):その副作用というのは,当時あなたは何で知ってたんですか。
原告睦子:テレビで報道されてました。
原告代理人(H):あなたは製薬会社で働いているので,被告の方からも製薬会社に勤務しているのにというような言い方をされていますが,あなたは薬剤師さんなんですか。
原告睦子:いえ,違います。
原告代理人(H):薬についての専門の教育を受けていますか。
原告睦子:いえ,特に受けていません。
原告代理人(H):当時あなたは製薬会社でどんな仕事をしていましたか。
原告睦子:当時は,一般的になんですけども,原料から製品に関する品質を管理する仕事に従事してました。
原告代理人(H):品質を管理する仕事で,それについては,薬についての専門知識というものが必要ですか。
原告睦子:いえ,特に必要はありません。
原告代理人(H):テレビなんかで副作用があるというのを聞いていたので,陣痛促進剤であれば飲みたくなかった。その当時あなたが知っていた陣痛促進剤の副作用というのはどういうものだったんですか。
原告睦子:赤ちゃんが亡くなったり,脳性麻庫のような障害を持ったりということを報道されてました。
原告代理人(H):どっちかわからないから飲めなかった。で,薬を受け取ってあなたはどうしましたか。
原告睦子:受け取って,どっちなのか迷いました。
原告代理人(H):それで何かしますよね。薬を受け取った後で。
原告睦子:はい。もともと薬をどういう商品名なのか見るくせがあったので,薬を裏向けて名前を確認しました。
原告代理人(H):そしたら,何と書いてあるのが見えましたか。
原告睦子:ルモンEと書いてあるのが見えました。
原告代理人(H):それは薬のパッケージのところが切れていて,全部は見えなかったけれども,そこの部分だけが見えたんですね。
原告睦子:はい。
原告代理人(H):それであなたは何と思ったんですか。
原告睦子:ホルモン剤なのかなというふうに思いました。
原告代理人(H):では,テレビで報道していた陣痛促進剤とあなたが手に持っていた薬と,見た目で違うところはありましたか。
原告睦子:テレビで報道されてたのは点滴の陣痛促進剤で,手に持ってたのは錠剤です。
原告代理人(H):で,どうしようかなと思ってたんですけれども,F医師から飲んでくださいと言われてますよね。あなたはどうしようと思いましたか。わからないわけですよね。飲まなきゃいけないと言われているけど,わからなきゃ飲みたくないんですよね。それでどうしようと思いましたか。だれかに聞いてみようとかは思わなかったんですか。
原告睦子:助産婦さんに1度確認してみようというふうに思いました。
原告代理人(H):確認しようかなと思ってたら,どうなりましたか。
原告睦子:助産婦さんが1錠目を飲んだかどうかという確認に,お部屋に来てくれました。
原告代理人(H):それであなたはどうしましたか。
原告睦子:助産婦さんに,手のひらにその薬を乗せて,これは陣痛促進剤ですかというふうに聞きました。
原告代理人(H):そうしたら,助産婦さんは何と答えましたか。
原告睦子:陣痛促進剤のうちに入らない弱いものですから,絶対飲んでくださいと言われました。
原告代理人(H):その答えで睦子さんは,F医師の説明をどういうふうに理解しましたか。
原告睦子:子宮口をやわらかくする薬というふうに理解しました。
原告代理人(H):それは,助産婦さんが陣痛促進剤のうちには入りませんと言ったので,F医師のさっきの説明がありますよね,それから陣痛促進剤ではないのだなというふうに思ったということですか。
原告睦子:はい,そうです。
原告代理人(H):子宮口をやわらかくする薬ということですけれども,子宮口をやわらかくしてどうするんだ,どういうものなんだというふうには,何か思いましたか。
原告睦子:子宮口をやわらかくして子宮を開かせて,まず自然の陣痛の発来を待つのかなというふうに理解しました。
原告代理人(H):じゃ,子宮口を開かせて自然な陣痛を待つんだと,そういうきっかけをつくる薬なんだと思ったと。そういうふうに思うような知識というのは,何か事前にあったんですか。
原告睦子:入院する前の日に,マタニティクラスという病院の両親学級があるんですけども,そこで「出産編」というのを聞いて,陣痛と子宮の開き方の関係を習いましたので,それを参考に頭に入れてました。
原告代理人(H):子宮口が開いて体が産む体勢になってくると,陣痛もどんどん進んでくるんだよというような話を,その学校で習ったということですね。
原告睦子:はい。
原告代理人(H):睦子さんがF医師の説明から疑問に思って助産婦さんに確認をして,じゃこれはこうなんだと思った薬がありますよね。それは睦子さんがその時点で思っていた,怖い副作用のある陣痛促進剤とは違うんですよね。
原告睦子:はい,そうです。
原告代理人(H):それで睦子さんはその薬をどうしましたか。
原告睦子:飲みました。
原告代理人(H):助産婦さんはそのときはどうしていましたか。
原告睦子:私が服用するのを見届けていました。
原告代理人(H):副作用についてなんですけれども,睦子さんが飲む薬について副作用の説明はしなかったとF医師ははっきり言っていますけれども,F医師のほかに助産婦さんでもだれでも,ほかの病院のだれかから副作用の説明は受けていますか。
原告睦子:いえ,全く受けていません。
原告代理人(H):もしもF医師から,その飲んだ薬の,プロスタルモンE錠の副作用である過強陣痛ですとか胎児が死んでしまうとか,そういう副作用についての説明を受けていたら,睦子さんの薬に対する理解というのは変わりましたか。
原告睦子:変わったと思います。
原告代理人(H):そうであれば,何と思われたと思いますか。
原告睦子:陣痛促進剤であるというふうに理解できたと思います。
原告代理人(H):結局,F医師の説明から,子宮口をやわらかくして自然な陣痛を起こす薬なんだなと思ったわけですけれども,今回事故があって,その後いろいろ勉強しましたよね。それで結局,自分が飲んだ薬は何なんだということがわかりましたか。
原告睦子:陣痛促進剤であるということがわかりました。
(原告代理人(H):甲第8号証の26ぺ一ジを示す)
原告代理人(H):文献,分娩誘発法の26ぺ一ジに睦子さんが飲んだ薬の説明があるんですが,一番上のところに何と書いてありますか。
原告睦子:PGE2経口投与法と書いてあります。
原告代理人(H):下を読んでいただけますか。
原告睦子:PGE2は子宮収縮作用に加えて未成熟頸管例に対する熟化促進作用があり,頸管の成熟の悪い場合でも使用が可能である。
原告代理人(H):このPGE2というのが,睦子さんの飲んだプロスタルモンE錠のことですよね。説明なんですが,もしF医師からこういう説明をされていたら,この薬は何だと思いましたか。


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