子宮収縮剤の危険な使われ方

「子宮収縮剤」でよく使用されるものに、オキシトシンとプロスタグランディンがあります。

オキシトシンとプロスタグランディンF2αは液体で、点滴で投与されます。プロスタグランディンE2は白い錠剤で、 1時間毎に1錠ずつ数回続けて服用します。

 

オキシトシンとプロスタグランディンF2αのような液体を点滴で投与

静脈に固定したルートから点滴で投与される(点滴靜注)薬です。

被害症例の中には、これらを筋肉注射や静脈注射で使用している例がいくつか見られます。

患者の状態を見ながら量を加減できる点滴と違って、注射で一気に体内に入れてしまうと調節のしようがないので危険です。オキシトシンの添付文書には古くから「原則として点滴靜中法により投与すること。筋注法、静注法は、調節性に欠けるので、弛緩出血に用いる場合かまたはやむを得ない場合にのみ使用を考慮すること」と書かれています。

また、たとえ点滴で投与していたとしてもそのスピードが速ければ同様に危険です。

子宮筋の感受性の個人差が大きい薬ですから、極少量からスタートしなければなりません。さらに、点滴の利点は異常が認められたらすぐに中止できる点ですが、十分な監視をしなかったり、妊婦の症状や訴えにかかわりなく、“決まりごと”として時間とともに点滴のスピードを上げていったりして事故を起こしている病院がいくつもあります。

 

プロスタグランディンE2の経口剤による投与

1錠ずつを1時間ごとに数回〜6回ほど続けて経口投与される白い錠剤です。この薬の添付文書の注意事項の欄には、「1.本剤は点滴注射剤に比べ、調節性に欠けるので、原則として妊娠母胎及び胎児の状態を常時監視できる条件下で使用すること」「2.本剤投与開始後は子宮収縮の状態及び胎児心音の観察を行い、投与間隔を保つよう十分注意し、陣痛誘発効果、分娩進行効果を認めたときは中止し、過労投与にならないように慎重に投与すること」の2点が記されています。つまり、この薬は1錠ずつまとめて体内に入れてしまうため、量を調節できない欠点があります。にも関わらず、病院によってはここの患者の感受性(体質)を考えず、陣痛誘発目的で最初から“決まりごと”として1時間毎に5錠とか6錠とかの服用を異医者が指示しているところがあります。

陣痛が発来したら1錠しか飲んでいなくても中止しなければならないのに、病院の“決まり”の通りに投与されているのが実態です。また、この錠剤を直接経膣投与している病院があります。プロスタグランディンE2は経口投与以外の使用は添付文書でも日母の指導書でも認められていないので、経膣投与は危険な行為です。にも関わらず、現在も経膣投与が行われています。私たちははっきりとこの使用法を断らなければいけません。

副作用について

過強陣痛や強直性子宮収縮により、胎児仮死、子宮破裂、頸管裂傷、胎盤早期剥離、羊水栓塞、弛緩出血、ショック、DIC(播種性血管内凝固症候群)等が起こることがあり、母体あるいは児が重篤な転帰に至った症例が報告されている。

過強陣痛とは?

子宮筋の収縮が異常に強く、間欠(陣痛がきていないとき)が短く、また収縮の持続の長いものをいう。

[過強陣痛の可能な診断方法]

内測法:破水後に細いチューブを子宮腔内へ挿入して羊水の圧力を導き出し、子宮内圧の変化を記録する。

I.子宮内圧(mmHg

子宮口 46cm 78cm 9cm〜第2
平均陣痛
40 45 50
過強陣痛
70以上 80以上 55以上
微弱陣痛 10以下 10以下 40以下

 

II.外測法による陣痛持続時間の分類

外測法:分娩監視装置で、妊婦のお腹にベルトで2種類の装置を取り付け、陣痛の強さと、胎児の心拍をモニターするもの。上に胎児心拍数のグラフ、下に子宮収縮の強さを表す陣痛曲線のグラフが、連続的に記録される。

子宮口 48cm 9cm〜第2
平均陣痛 70 60
過強陣痛 2分以上 1 30秒以上
微弱陣痛 40秒以内 30秒以内

 

III. 陣痛周期

子宮口 46cm 78cm 910cm 2
平均陣痛 3 230 2 2
過強陣痛 130秒以内 1分以内 1分以内 1分以内
微弱陣痛 630秒以上 6分以上 4分以上 初産 4分以上
経産 330秒以上

 

強直性陣痛とは?

子宮収縮が強く長くて、ほとんど間欠の見られないもので、全く間欠を欠き、子宮全体がほとんど同じ程度に強く持続的に収縮するようなもの。

胎児仮死とは?

胎児の呼吸器系、循環器系が機能不全に陥った状態。低酸素が主因となり、胎児心拍の異常波形や羊水混濁が出現する。

子宮破裂とは?

物理的な切れ目でもないかぎり、子宮は自然の陣痛だけではまず、破裂しないといわれている。陣痛促進剤による過強陣痛で強烈な子宮収縮が続くと、子宮が瞬間的に真空パック状態のようにいびつな形になり、それによって薄くなった部分が破裂するのではないかと考えられる。

胎盤早期剥離とは?

正常位置に付着している胎盤が、胎児の娩出以前に、子宮壁より剥離すること。

羊水塞栓とは?

羊水成分(羊水、胎脂、胎便、胎児の皮膚剥離細胞等)が母体血中も流入し、肺血管を塞栓し、呼吸不全やショック等を引き起こす重篤な疾患。

弛緩出血とは?

出産後に、子宮筋の収縮不全により、出血がとまらなくなること。

DIC(播種性血管内凝固症候群)とは?

血液凝固因子の消費のために凝固障害状態となること。出血が止まらなくなり大量出血となってしまう状態。