子宮収縮剤の特徴

感受性に100倍以上の個人差

子宮収縮剤を陣痛誘発・促進の目的で使用する際の副作用の第一は「過強陣痛」です。子宮収縮剤は陣痛を強める薬ですから、ある意味では、「過強陣痛」は主作用といったほうがいいかもしれません。この薬は母にとっても、予定されていた陣痛よりも早く(陣痛誘発)、かつ強く(陣痛促進)させるのが目的で投与されるのですから。

子宮収縮剤の恐さは結果を予想できないところにあります。それは、この薬に対する子宮筋の感受性に個人差が非常に大きいためです。

こういう特徴を持つ薬を、患者に一律に投与している病院もあります。そのような病院では、たとえば子宮破裂を起こした患者に対し、「同じ量の投与をしても子宮破裂をしない人もいるのだから、薬が悪いのではなく、あなたの子宮が悪かったのだ」と言うことが多いようです。しかし、この薬の特徴やそれに対する警告から考えると、これらを無視した医療者たちの過失によって子宮破裂が引き起こされた可能性が強いと考えられます。

自然の陣痛は、子宮口(赤ちゃんの出口)の開き具合に合わせて強くなっていきます。子宮口の開き具合からして強すぎる陣痛が過強陣痛です。また、自然の陣痛の場合、お産の最後まで間欠期が必ずありますが、それがなくなってしまう(子宮内圧の上昇)のも過強陣痛です。

子宮収縮剤を使用するときの分娩監視について

「オキシトシンの点滴投与開始初期には、しばしば子宮筋のトーヌス(間欠期の子宮内圧)の増強や、過強陣痛が出現する初期反応を認めるから、安定した子宮収縮の状態になるまで、少なくとも30分間は医師の持続監視が必要である。」「オキシトシンの性質から、過強陣痛や強直性子宮収縮のおそれがあり、このため胎児仮死や胎児死亡、あるいは頸管裂傷、子宮破裂、羊水塞栓を起こすことがあるから、分娩監視装置による母体及び胎児の監視が求められる。」と日母の冊子には記されています。分娩監視装置とは、妊婦のお腹にベルトで2種類の装置を取り付け、陣痛の強さと、胎児の心拍数をモニターするものです。上に胎児心拍数のグラフ、下に子宮収縮の強さを表す陣痛曲線のグラフが、連続的に記録されていきます。これまでは、分娩中の555方式といううのがとられてきました。これは、胎児の心拍を母親のお腹越しにドップラーやトラウベ(木でできた筒状の器具で、産婦の腹部に置いて看護婦が耳を当てて聞く)で5秒間ずつ3回数え、それを足して4倍するというやり方です。例えば、胎児の心拍を5秒間ず3回数えたら121112だったとすると、(12+11+12)×41401分と数えるやり方です。

分娩時の基準心拍は120160が正常、100120が軽度徐脈、100以下が高度徐脈とされています。555方式でも、胎児の心拍が落ちているときにはそれがわかるかもしれません。しかし、分娩監視で大事なことは胎児の心拍が落ちる前の前兆をとらえることです持続的に高度の徐脈に落ちてしまってからでは遅いといわれます。その前兆は、3種類の一過性徐脈などでとらえることができます。(分娩監視記録の見方参照)

持続的徐脈におちいる前には必ずと言っていいほどのこれらの一過性徐脈があります。しかし555・方式では、一過性のものは多くの場合見逃してしまいますし、3種類ある一過性徐脈のうちどのタイプかを見極めるためには、胎児の心拍と陣痛曲線との関係を見なければいけません。それらを知るには、分娩監視装置の装着なしには不可能です。分娩監視装置にはドップラーやトラウベと決定的に違うところがあります。ドップラーやトラウベは、陣痛と陣痛の間、つまり陣痛が休んでいるときに胎児心拍数を測りますが、分娩監視装置は陣痛の最中も乗じ連続して測定し続け、かつそのまま記録に残るというところです。特に胎児仮死の可能性が高くなる陣痛促進剤を使用する際には、分娩監視装置は必需品です。

ところが、陣痛促進剤を使用する場合でも「30分に1度くらい555方式による監視をして、異常が発見されれば分娩監視装置をつける」という病院があります。こういう病院は、「胎児仮死の前兆を見つけるために装置をつける。」という分娩監視装置の目的すら知らないデタラメな病院といえます。

また、折角監視装置をつけていても、そのグラフを常時みていなかったり、見ていても一過性徐脈の判定ができない、つまりグラフの見方がわからない医療者がかなり多いという実態が裁判などで明らかになっています。日母の医療事故対策委員が書いた「鑑定からみた産科医療過誤訴訟」と題した文章の中にも、「分娩監視装置の装着などを助産婦・看護婦に任せきりであると、やり方が不適切なため陣痛曲線が振り切れていたり、陣痛の最大値が不明瞭な場合がある。年輩の助産婦では折角監視装置を使用しているにもかかわらず、12-12-12といった古典的な児心音の記載をしているために陣痛との関係がわからないものもある。」と記されています。

あなたが陣痛促進剤を使われるときには絶対に分娩監視装置をつけてもらうことが必要です。が、つけてもらったからといって決して安心できないのが、今の日本の産科医療の現状です。(分娩監視記録の見方については分娩監視記録の見方を参照)

(「病院で産むあなたへ 〜クスリ漬け出産でなかないために〜
陣痛促進剤による被害を考える会 出版社:さいろ社 より)

かったんからのコメント

経口剤の子宮収縮剤では、「子宮口を柔らかくする薬です。」というような説明をされることが多いようです。これを真に受けてはいけません。れっきとした子宮収縮剤です。

私もプロスタルモンE錠という子宮収縮剤を「子宮口を柔らかくする薬」といわれ、信じました。子宮口を柔らかくする作用はあるようですが、これは主作用ではありません。

薬の説明でちょっとでも「おかしいな」と思ったら、とことん質問しましょう!!

子宮収縮剤を使用中は分娩監視装置で連続監視が絶対必要です。必ず、連続着用してもらってください。